お客さんは、増えないが、スタッフが増えるという、この会において、今回さらに一人スタッフが増え、さらにゲストまで来るという、もう何が何だかな会になった。
ゲストは、兄弟子の桃之助兄さん。
来るかもしれない、とは言っていたが、まさか本当に来るとは。
いや、いらっしゃって下さるとは。
今回演った『天災』という噺は、桃之助兄さんに教えて頂いたもので、それを客席の最前列で、腕を組んで、メモを取り、舌打ちしながら見て頂く、というありがたい先輩だ。
僕が三席やって、せっかくなので、兄さんにも演っていただこうということになり、今度は僕が、腕を組んで、メモを取り、舌打ちしながら見させて頂いた。
勝者なし、ということで会は終了。
終わって、僕は打ち合わせがあり残ることに。
一人で帰っていった兄さんの、丸まった背中が、物悲しかった。
しかし、その手には今日のほんのわずかなギャラが、しっかりと握りしめられていた。
兄さんありがとうございます。皆さんありがとうございます。
そして、その後、桂平治師匠主催の『平治会』という、謎の怪しい会合に呼んで頂けることになろうとは、そのときの僕には知る由もなかった。
そして、知る必要もなかった。