2016年2月2日火曜日

A点 1

A点 0

「夕方のTV番組で、若手落語家を取り上げるリポートがあり、そこでグッズを見せてくれたり二つ目の良さを話して下さる方を3名ほど募集しております。2月12日17時から一時間半ほど渋谷にいらっしゃれる方はいませんでしょうか」とのことです。
さあ今こそA太郎グッズを。
ご連絡是非。

笑点 2

お借りしていた仲代達矢の本を持って師匠のお宅へ。
「読んだか?」
「はい」
「どうだ」
「早速昨日『殺人狂時代』のDVD借りました」
師匠無言で一服。
おかみさん特製ランチをご馳走になり、特製の服をお借りして一枚。
ダンスの先生と。

焦点 4

楽屋に戻る。
スピーカーからあこさんの歌声が聞こえてくる。
『こんなに聞こえてたんだ』

着替える。
前座さんが微妙な距離で「刺激になった」などと話をしている。

ふいに鶴瓶師匠が
「紺屋良かったで」と。
「いや、イビキ聞こえて来ましたよ」
「そんなんは気にせんでええねん」
「そうですか」
「久蔵がええな。花魁はもっと勉強した方がええ」
「あ、ありがとうございます」
「流れからして、あれ一本で良かったんちゃうか」
「そうですか。でもせっかくこういう舞台なんで新作やってみたかっんです」
「そうか。それはええことや。新作もおもろかったけどな、流れやな」
「ありがとうございます」

師匠が着替え始める。
着替え終わるとイスに座り、じっとネタ帳を睨んでいる。

出囃子が聞こえてくる。
一斉に「ご苦労様です」

「ほないってくるわ。青木先生でええねんな」

高座に上がる。

僕は走って客席の一番後ろへ向かう。

高座の師匠を見て思わず
「あっ、鶴瓶だ」と。

笑う。
悔しいけど笑う。

満場の拍手に見送られ師匠が手を振り高座を下りる。

蓮二さんの写真が流される。
リハーサルと違う景色に見える。
何だか苦しいぐらいに。

焦点 3

『いつものように』と心がけ、ゆっくりと高座へ向かう。

オレンジ色のバックに『昔昔亭A太郎』の文字が浮かぶ。
それを確認し座布団の上に立つ。

客席を見渡し『なるほど、いつも独演会などに来て頂けるお客さんは本当にチケット取れなかったんだ』と思いながら、メガネを掛け座りメガネを外す。

飽きてもルーティーン。

兄貴が手を振っている。
そして手を下ろした後に緊張している。
やる前よりやった後の方が緊張する、ということはよくあることだ。

さあここまで来ればいつも通り。

一席目に新作『表と裏』
ザワッとくる感覚を楽しむ。

高座の上での生着替え。
『着物を投げて』とお願いしていた弟弟子の喜太郎が、2倍の早さを見せる。

突き指する。

お囃子の千秋姉さんが三味線で助けてくれたが、袴まで履く余裕はなし。

二席目は古典『紺屋高尾』
客席の照明が少し暗くなった気がした。
気のせいか。

おじさんのイビキが聞こえる。

『落語心中』のあのシーンを思い出す。

笑わば笑え。

夢中だが冷静にオチへ。

頭を下げ、つい『ありがとうございました』と口に出す。
独演会で最後のネタをやり終えたような清々しさ。

メガネを掛ける。
飽きずにルーティーン。

あこさんが高座に上がるのを見届け、高座裏へ。

蓮二さんが手を出して待っている。
照れるが握手。

前座さんたちもなぜか握手を求めてくる。
それを雑に断り、暗い階段を登る。

息を吐き『終わったんだ』とつぶやく。

2016年2月1日月曜日

焦点 2

楽屋に戻り、着替える。
蓮二さんのお弟子さんに、「100円ショップのメガネと、引き出物のメガネどっちが良いと思いますか」と聞くと、100円の方が似合う、と。
案外そんなもんだ。

父の知り合いが楽屋に来る。
僕に向かって「A太郎さんいらっしゃいますか?」と。
「まだ来てません」と言って帰って頂く。

開演30分前、鶴瓶師匠が到着。
今度は本当に楽屋がピリッとする。
「おう、A太郎」
子供の頃からテレビで見ていた人から名前を言ってもらえるなんて、未だに信じられない。
そして何度お会いしても緊張する。

前座さんたちが師匠に群がり挨拶。
みんな、今日の目的は果たせた、という顔をしている。

突然京都から来た従兄弟が、楽屋に入って来て、師匠と蓮二さんとあこさんに、京都の有名な何かを渡し始める。

そしてまた従兄弟にはなし。

さらに何と鶴瓶師匠とツーショット写真を撮ってもらっている。

うらやましい。

どうにも我慢出来なくなり、師匠にA太郎クリアファイルを手渡す。
「なんやねんこれ」
確かに『なんやねんこれ』だ。

沼袋と鶴瓶師匠が繋がったことに感動していると、中野のおばさま達から『A太郎をよろしく』と師匠に、ケンタッキーの差し入れが届く。

一瞬楽屋に『高座前にフライドチキンって』という空気が漂う。

すかさず師匠が「みんなで分けようや」と。
安堵の笑みがこぼれる。

高座終わりにみんなで分けて頂きました。
ありがとうございます。

受付の方から「iPhoneケース売り切れました」と連絡が。
もう少し値段上げても良かったかな。

「まもなく開演です」

暗い階段を下りて行く。

反対側の袖には蓮二さんがカメラを構えている。

焦点 1

朝から落ち着かない。
いや、昼か。
新しいカバンと引き出物で頼んだメガネが届く。
偶然今日。
そういう日か、と。

肌寒く楽屋入り。
楽屋には見学に来た前座さんが10人以上。
僕を見ても誰一人ピリッとしないので、一度楽屋を出て再びピリッとした顔をして楽屋入り。
理解してくれたらしくみんなピリッとする。

主催者の橘蓮二さんに挨拶。
「戦って来て下さい。楽しみにしてます」と言って頂く。
すごい気合い。
蓮二さんにとっても、この会は戦いなのだ、と感じる。

A太郎クリアファイルとiPhoneケースが届く。
デザイナーの菅さんから「全部売れたら元が取れます」と言われ再びピリッと。
菅さん公演祝いに素敵な花を出してくれてありがとうございます。
あと奥さんから頂いたトラベラーズノート、表紙の革が気に入りました。

共演の遠峰あこさんに挨拶。
あこさんのCDを頂く。
お返しにクリアファイルをお渡しする。
CDが2000円でクリアファイルが500円なので、1,500円負ける。
クリアファイルの存在を知った前座さんたちが半笑いで「それ下さい」と。
仕方なくばらまく。
これで早速、元が取れなくなった。

リハーサル。
着物の色に合わせてバックの色を変えてくれる北沢タウンホールの皆様。
あこさんの華のある声に聞き惚れる。
最後に流れる蓮二さんの写真を見てグッとくる。

岐阜から来た兄貴が楽屋に入ってきた。
岐阜で有名な何かを蓮二さんとあこさんに渡している。
弟には何もなし。
「何だか緊張してきた」と言って楽屋に居座ろうとしていたのでスネを蹴って追い出す。

珍しく早く楽屋入りし落ち着かないのと、とにかく一人になりたかったので、下北沢の街を歩きタバコを吸い煙を吐く。