バケツをひっくり返したような雨とは、バケツ何杯分なんでしょうか。
一杯なら大したことないですね。
それとも大きなバケツなんでしょうか。
でも、大きすぎたらもうバケツとは呼べないですね。
さて、昨日から草津温泉らくご。
今回は、酔っ払ったお客さんが騒ぎ出し、他のお客さんと大喧嘩になった。
仕方ないので何とか止めようと、
「僕を取り合って喧嘩しないで下さい」と言うと、
二人とも笑い出した。
笑いは世界を救いますね。
翌日、日頃の疲れを取るために、朝五時に起きて、『天狗裁き』という落語の稽古のため、草津天狗山に登る。
天狗像に登山客が手を合わしている。
そりゃ、天狗の鼻も伸びますよ。
続いて白根山を目指す。
早速、山道でこけて足を痛める。
自然は大きなホスピタルだ。
足を引きずって脇の道路を歩いていると、車が止まり
「乗って行くか」
と言って頂いた。
後部座席を見るとビニールシートがモゴモゴ動いていたので、丁寧にお断りする。
山は厳しい。
山小屋のリンゴジュースが270円なのも厳しい。
飲み終わってから『よく振ってお飲み下さい』に気付くのも厳しい。
ただ山小屋のトイレがウォシュレットだったのはお尻に優しい。
山小屋のおばあちゃんに
「山を歩くということは、自然を踏み潰すということだ」と戒められる。
ただ「踏まれれば踏まれるほど強くなる、歩きなさい」と言われる。
山道に入るとやたら蠅がたかってくる。「俺は羽光と同類か」と聞くと、
蠅が「いや違う」と答える。
安心していると「死に近いのだ」と言われる。
側道を歩いていると、車に乗っていた子供に「あの人お金がないから車買えないんだね」と言われる。
そうだよ、だから歩いて行くんだよ。
ようやく白根山頂上へ。
ネタ作りのためとはいえ四時間は大変だった。
旅館のおばあちゃんに握ってもらったおにぎりを、原っぱに寝そべって食べる。
おいしい。
頂上近辺の湯釜で、草津のマスコットキャラクター湯もみちゃんに遭遇する。
投げキッスをしてもらった。
中身が羽光さんみたいな人でないことを山の神に祈る。
下山途中クマに遭遇する。
蠅の予言か。
だめもとで冷静に「お前の勝つ可能性は百%じゃないだろ、万が一負けたら恥をかくぞ」と言うと
「いや百%だ」とクマが答える。
「俺が銃を持ってたらどうする」
「日本では銃は禁止されている」
「俺は猟師だ」
「いやお前は落語家だ」
「俺のラグビータックルで馬乗りになったら五分だぞ」
「馬乗り?」
と考えてる間に逃げてきた。
後ろから「俺はクマだからクマ乗りだ」と聞こえてきた。
つまらない。
冷や汗をかいていたら、次はカモシカに遭遇する。
「俺は、はじめの一歩を読んでるから、お前のジャンプ力は知ってるぞ」
と言うと、
「それがどうした」と言われ頭の上を飛び越えて行った。
自然は小さな動物園だ。
蠅、クマ、カモシカとの会話はどうあれ、遭遇したのは本当です。
信じてみて下さい。
下山途中側道に出ると、再び車が止まり
「足大丈夫ですか?乗って行きますか?」と言って頂く。
後ろにビニールシートもないので、ありがたく乗せてもらう。
お礼に落語を一席『面会』を後部座席で語る。
なぜか途中で「降りてくれ」と怒鳴られ、再び歩き出す。
しばらく歩いていると、ツーリング中のバイクが止まり、ワイルドなおじさんが
「おい、乗れ、東京まで連れてってやる」と。
断れそうにないので、後ろに乗せてもらう。
この際、宿の荷物はまた今度草津に来たときにしよう。
今サービスエリアで、なぜか宝くじを買って頂きました。
無事に帰れることと、宝くじが当たることを、陸の神に祈ります。