夜の部には、同じ宿に泊まっているお客様が多く来てくれる。
落語の前に、宿の温泉に入っていたので、その時に会っているお客様が何人か客席にいる。
きっと『あの裸のヤツが高座にいる』と思っただろう。
負けじと『あの裸のヤツらが客席にいる』と思ってやった。
一番前のお客様に「今まで出た落語家で誰が良かったですか?」と聞くと、「次回出る人」とのこと。
四列後ろに下がってもらう。
終わってから、お客様全員と温泉へ。
お客様が『さっき高座にいたヤツの裸はこれか』という顔で見てくる。
負けじと『あの客席に座っていたヤツらの裸はこれか』という顔で見返してやる。
部屋に戻り、ぐったりして裸のまま横たわる。
先程落語を見に来てくれた仲居さんが、食事を持って来てくれる。
突然だったので、裸を見られる。
『あの高座にいたヤツの裸はこれか』という顔をした。
仕方ないので『あの客席にいた仲居さんの持ってくる食事はこれか』とう顔で見返す。
負けた。
もう何がなんだか分からない。
部屋の前に『落語家様』という紙が張ってある。
二度ほどピンポンダッシュされる。
転校当時の記憶がよみがえる。
なんのかんの書きましたが、湯河原温泉らくご大変お世話になりました。
至れり尽くせりで感謝しております。
温泉七回入りました。さすがに最後の温泉は冷たい顔をしていたような気がします。