独演会のため読めずに溜まった一週間分の新聞を喫茶店で読む。
今年は暑いんだと知る。
昨日は昼に相模原で柳若さんと落語会。
前日結構長くお酒を飲んだという柳若さんの顔は、全くそれを感じさせないほどの目のくまだった。
柳若さんの高座でほとばしる汗は、四十年熟成された泡盛だ。
味わい深き高座だった。
さて僕の高座。
まずは新作落語。
高座中、明るくよくしゃべるオジサンがいたので、他のお客様をほったらかしにして、二人で焼き鳥の話をする。
ふと見ると、オジサンの足元に茶色の液体が。
今日は僕じゃなくてお客さんか、と思ったがコーヒーをこぼしたらしい。
一時中断し床を拭く。
新作が終わると、オジサンが「そんな分かりやすくて、面白くて、くだらない噺じゃなくて、もっと真面目な噺をやれ」と、誉められたのか、けなされたのかよく分からない言い方をしてきたので、仕方なく人情噺『文七元結』を四十五分みっちり演る。
他のお客様が眠るなか、オジサンに向けて一生懸命やる。
一番良い場面で、まさかのオジサンの携帯が。
他のお客さんが目覚める。
オジサンが電話で話しながら会場の外へ。
もちろん会場の扉に鍵をかける。
『開けろ〜、ドンドンドン』という騒音の中で落語をやったのは初めてだった。
柳若さんと「勉強になったね」とうそぶいた。
柳若さんの「兄さんは『子ほめ』(前座噺)をやるように、『文七元結』をやりますね。そして『文七元結』をやるように『子ほめ』をやりますね」との台詞にセンスを感じた。
皆さんお越し頂き、ありがとうございました。