2016年2月2日火曜日

焦点 4

楽屋に戻る。
スピーカーからあこさんの歌声が聞こえてくる。
『こんなに聞こえてたんだ』

着替える。
前座さんが微妙な距離で「刺激になった」などと話をしている。

ふいに鶴瓶師匠が
「紺屋良かったで」と。
「いや、イビキ聞こえて来ましたよ」
「そんなんは気にせんでええねん」
「そうですか」
「久蔵がええな。花魁はもっと勉強した方がええ」
「あ、ありがとうございます」
「流れからして、あれ一本で良かったんちゃうか」
「そうですか。でもせっかくこういう舞台なんで新作やってみたかっんです」
「そうか。それはええことや。新作もおもろかったけどな、流れやな」
「ありがとうございます」

師匠が着替え始める。
着替え終わるとイスに座り、じっとネタ帳を睨んでいる。

出囃子が聞こえてくる。
一斉に「ご苦労様です」

「ほないってくるわ。青木先生でええねんな」

高座に上がる。

僕は走って客席の一番後ろへ向かう。

高座の師匠を見て思わず
「あっ、鶴瓶だ」と。

笑う。
悔しいけど笑う。

満場の拍手に見送られ師匠が手を振り高座を下りる。

蓮二さんの写真が流される。
リハーサルと違う景色に見える。
何だか苦しいぐらいに。

11 件のコメント:

  1. やばい、涙が。もらい泣き。

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  2. A太郎さんにとってとても思い深い会だったのですね。
    私にとっては同じくらい、A太郎さんの落語会はいつも期待と笑と興奮とで溢れております。
    これからもどうぞ引き続き夢とか笑う幸せとかを下さいね。次のA太郎会も楽しみ過ぎるよ〜

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  3. 本書きません?
    短編でも?
    そんなら、私は買いますよ。
    サインしてね^^

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  4. 「火花」以上の純文学ですね!!

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    1. 火花はタダ読み×2でした。
      純文学とかどうでもいいので、とにかく書いて頂きたいですね。
      途中終わっちゃうのもありかもですね。A節の出汁が効いたやつ!

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    2. とにかく書きましょう。
      ありがとうございます。

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  5. 鶴瓶師匠からのアドバイスうれしいね。
    焦点かっこよかったよ。

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